8月3日、月曜日から、私は新しい職場で働き始めました。転職に至るまでの経緯については、これ以上触れません。それよりも、私だけでなく、この新しい職場にとっても少し珍しい状況になったため、そのことをここに書くことにしました。当然ながら、事実をありのままには書けないため、一部の表現を濁して書きます。
上司も同じタイミングで転職してきた
一言で言えば、見出しのとおりです。私は上司と同期入社で、入社日まで同じでした。入社初日の人事研修なども、すべて一緒に受けました。
言い換えると、私が所属する組織の責任者も新入社員だということです。会社のプロパーではなく、外部から来た人が私の上司です。つまり、会社のカルチャーや価値観にまだ染まっていない上司ということになります。
私は、上司として機能するために、その会社のカルチャーや価値観を身につけていることが必須だとは考えていません。組織運営における判断力や責任能力は、その会社だけで育まれるものとは言い切れないからです。私にとって、それらはいわゆるポータブルスキルです。会社や組織を問わず、上司としての基本的な振る舞いや機能は、原則不変というのが私の考えです。
こう書くと、「では、その上司は上司らしくないのか」と思われるかもしれませんが、私の印象としては半分正解です。
集団活動においては、お互いの関係性が重要ではないか
私の価値観というか、考え方の根底にあるのは、「職場での立ち位置や役割は、相互関係の中で決まる」というものです。ここで何度も書いてきた「関係の質」の話です。
上司として着任した人は、その役割を期待され、それを前提に入社したはずです。そのため、その人は「上司」として部下との関係を築かなければならない、というのが私の考えです。そこに、その会社固有のカルチャーや価値観への理解は、必須ではありません。
私にとって、上司は「判断する人」です。そのため、「私が判断材料を提供し、上司が判断する」、この関係が私にとっての上司と部下です。年齢や性別は関係ありません。職場における役割と関係だけに焦点を当てれば、この考え方はそれほど的外れではないと思っています。
私がこの考え方を思い出すきっかけとなった、象徴的な出来事がさっそくありました。
具体的な場面を設定します。日本国内への出張を想定します。場所は会社から片道約200キロで、公共交通機関で移動できます。
私はまず、旅費規程や出張規程など、会社の規程類を確認しました。私が調べた限りでは、たとえば新幹線について、「自由席しか認められない」「指定席までは認められるが、グリーン車は認められない」といった記載はありませんでした。そこで、同じ組織の先輩にも確認したところ、実費精算であることを教えてもらい、併せて私の調査結果も妥当と確認できました。
これらを踏まえ、私は上司に「出張経路について、自由席か指定席かという指示や決まりは、規程類にはありません。どちらで行きますか」と尋ねました。理由は明確です。会社の経費を使うからです。
この問いに対して、上司は2つの挙動言動を示しました。
- 「よく分からないから、その経緯をメールで送って」と言いました。言い換えると、私の上司は私に「あなたが判断しなさい」と言いました。実は、同じ内容は事前にチャットで送ってありました。そのため、私は改めてメールを送りませんでした。
- 上記の数時間後、上司が私のところへ来て、「出張申請は大丈夫か?あなたは申請できたか?」と切り出し、今度は状況確認を始めました。
私はさすがに混乱したため、一から端的に説明し直しました。私が各種規程を前提に対応していること、そして私と上司双方が懸念していた「事前の出張稟議申請」や付随手続きはこの会社では不要であること、さらに規程上に指示が無いため交通経路にはいわゆる合理的経路を使う予定であること――これらを順序立てて説明し、ようやく上司にも状況を理解してもらえました。
ただし、一連のやり取りの中で、私が求めていた上司の判断について、明答はありませんでした。つまり、黙認で終わりました。唯一の救いは、上記の口頭説明の場に、先輩も同席してくれていたことでした。
どう振る舞うかに正解はないものの、外してはいけないポイントはある
もちろん、上司も着任直後です。いきなり上位者からさまざまなことを求められ、上司自身が立場確立を図っていることは、傍から見てもよく分かります。
上司は大きな期待を持って受け入れられたのでしょう。期待に応えようと努力していることは理解できます。しかし、それ以前に、その人は組織における「上司」です。部下との関係構築より先に別の世界へ飛び込み、そこで試行錯誤している。その結果、私を含むメンバーへのマネジメントが疎かになっているように見えます。これは少し意外でした。
とはいえ、まだ入社して5日です。「期待に早く応えたい」と拙速に動くのか、それとも地に足をつけて進むのか。私は後者を選びます。焦ったところで意味はありません。むしろ、失敗が許容されやすい今だからこそ、できることをやったほうがよいと考えています。短期評価は悪化するかもしれませんが、堅実に振る舞えば、長期的には相殺できると考えています。
これは、どちらが正解なのか、どちらがより良いのか、という話ではありません。その人がどのような態度を取り、どのような価値観を持ち、どう振る舞うのか。結局は、ただそれだけの違いだと思います。





